新入社員で部下

本当に新入社員が俺の部下にやって来た．俺の元部下も彼に優しい．入ったばかりの27歳はとまどっているような．俺の部下になりたかった様子もあると元部下が話してくれた．彼は先週末に俺の元に会社の製品を教えてくれと来たので，何か心にあるんだろうな．

さて，彼は大卒だ．28歳だ．さわやかで真面目だ．あんまりからかうと可哀想になるので今日は控えめにした．何か柔らかい芯の無さが今の若者のように感じる．3度目の転職だから，新卒社員をゆっくり育てるわけにはいかないので，初めからきつめの実務もさせようと思う．

少し，実験的なこともしている．俺の工場で俺の仕事は労務的な書面が無い．要領書とか作業標準のようなものが無い．彼には俺も何度も教えるわけにはいかない．そんな時間は無い．だから最初に時間を割き，メモをさせてそれを俺が確認し，そのメモを時間があるときに清書させてみる．作業標準の手引きはあるので，本来俺がしないといけないのだが，彼で試してみようと思う．手応えは無い．昔の俺たちは見て憶えろみたいなところがあったんだけどな．今は時代が違うから．

今日も何か話してあげたかった．世間話だね．でも仕事を優先という事で世間話も無かった．少しずつ慣れてくるだろうから．よその部署では俺の仕事は楽しいように見えると言うし．でも元部下は大変さを知っているし．元部下も少し仕事を教えたけれど，自社製品の理解はまだもう少しなので，仕様などの細かい部分は俺が担当だ．ただ二人で教えると本当に遊んでいるようにみえるらしい．

フロアの課長と工場長も俺が指導していると笑っている．きっと面白いんだろうね．時間が無いくせに丁寧だからかな．不思議な感じがあるんだろうな．俺の仕事は説明が多いから．労務より意識の方が大事だと思うし，危険が伴うので怖いところもあるし．工場は職人的だから黙ってモクモクな仕事だもん．俺の仕事は意識や集中力なので時間の使い方も違うよ．

しかし，あんなにさわやかだと，俺の部下だと可哀想だ．汚れていくように思うぞ．